こんにちは、kumaです!!
社労士試験で大事な判例集を取り上げていきます。
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(各判例は裁判所事件名、通称事件名の順で掲載しています。)

本記事の参照:裁判所ウェブサイト https://www.courts.go.jp/

なお、本記事の執筆に当たり、以下の書籍を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。
・イラストでわかる労働判例100,社労士V受験指導班 著,日本法令 出版

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目次 [ close ]
  1. 昭和の判例
    1. 俸給等請求【細谷服装事件】
    2. 労働基準法違反【小島撚糸事件】
    3. 破産債権確定請求【日本勧業経済会事件】
    4. 損害賠償請求【小野運送事件】
    5. 雇用関係存続確認請求【十和田観光電鉄事件】
    6. 退職金請求【電電公社小倉電話局事件】
    7. 解雇無効確認等請求【西日本鉄道事件】
    8. 就業規則の改正無効確認請求【秋北バス事件】
    9. 給与支払請求【福島県教祖事件】
    10. 退職金請求【シンガー・ソーイング・メシーン事件】
    11. 賃金請求【白石営林署事件】
    12. 未払賃金請求【白石営林署事件】
    13. 労働契約関係存在確認請求【三菱樹脂事件】
    14. 労働契約存在確認等請求【東芝柳町工場事件】
    15. 賃金請求【丸島水門事件】
    16. 組合費請求(1)【国労広島地本事件】
    17. 組合費請求(2)【国労広島地本事件】
    18. 退職金返還【三晃社事件】
    19. 損害賠償【三共自動車事件】
    20. 懲戒戒告処分無効確認【目黒電報電話局事件】
    21. 雇用関係確認、貸金支払【大日本印刷事件】
    22. 地位確認【国鉄札幌運転区事件】
    23. 賃金【三菱重工長崎造船所事件】
    24. 給料【此花電報電話局事件】
    25. 未払賃金【大和銀行事件】
    26. 譴責処分無効確認【関西電力事件】
    27. 損害賠償【川義事件】
    28. 救済命令取消【日本メール・オーダー事件】
    29. 賃金支払【水道機工事件】
    30. 雇用関係確認等本訴、建物明渡請求反訴【古河電気工業・原子燃料工業事件】New!!
    31. 不当労働行為救済命令取消【日産自動車事件】New!!
    32. 未払賃金【エヌ・ビー・シー工業事件】
    33. 懲戒処分無効確認【電電公社帯広電報電話局事件】
    34. 従業員地位確認等【東亜ペイント事件】
    35. 労働契約存在確認等【日立メディコ事件】
    36. 雇用関係存在確認等【あけぼのタクシー事件】
    37. 懲戒処分無効確認等【弘前電報電話局事件】
    38. 賃金【ノース・ウエスト航空事件】
    39. 退職金請求事件【大曲市農協事件】
    40. 不当労働行為救済命令取消請求事件【池上通信機事件】
  2. まとめ
  3. おすすめ記事

昭和の判例

俸給等請求【細谷服装事件】

最高裁第二小法廷 昭和35年(1960年) 3月11日

判示事項
一 労働基準法第二〇条に違反してなされた解雇の効力
二 労働基準法第一一四条の附加金支払義務の性質

裁判要旨
一 使用者が労働基準法第二〇条所定の予告期間をおかず、
また予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、
その通知は、即時解雇としては効力を生じないが、
使用者が即時解雇を固執する趣旨でないかぎり、
通知後同条所定の三〇日の期間を経過するか、
または予告手当の支払をしたときに解雇の効力を生ずるものと解すべきである。

二 労働基準法第一一四条の附加金支払義務は、
使用者が予告手当等を支払わない場合に当然に発生するものではなく、
労働者の請求により裁判所がその支払を命ずることによつて、
初めて発生するものであるから、使用者に労働基準法第二〇条の違反があつても、
すでに予告手当に相当する金額の支払を完了し、使用者の義務違反の状況が消滅した後においては、
労働者は、附加金請求の申立をすることができないものと解すべきである。

労働基準法違反【小島撚糸事件】

最高裁第一小法廷 昭和35年(1960年) 7月14日

判示事項
違法な時間外労働等についても割増賃金不払罪が成立するか。

裁判要旨
労働基準法第三三条または第三六条所定の条件を充足していない違法な時間外労働ないしは休日労働に対しても、使用者は同法第三七条第一項により割増賃金の支払義務があり、
その義務を履行しないときは同法第一一九条第一号の罰則の適用を免れない。

破産債権確定請求【日本勧業経済会事件】

最高裁大法廷 昭和36年(1961年) 5月31日

判示事項
労働者の賃金債権に対し不法行為を原因とする債権をもつてする相殺の許否。

裁判要旨
労働者の賃金債権に対しては、使用者は、労働者に対して有する不法行為を原因とする債権をもつても
相殺することは許されない。

損害賠償請求【小野運送事件】

最高裁第三小法廷 昭和38年(1963年) 6月4日

判示事項
労災保険金の受給権者が損害賠償債務を免除した後の保険金給付と
労働者災害補償保険法第二〇条第一項の適用の有無。

裁判要旨
労災保険金の受給権者が第三者の自己に対する損害賠償債務の全部又は一部を免除したため、
残存債務が保険給付額に達しないときは、政府は、その後保険給付をしても、
保険給付と残存債務との差額については、労働者災害補償保険法第二〇条第一項による損害賠償請求権を取得しない。

雇用関係存続確認請求【十和田観光電鉄事件】

最高裁第二小法廷 昭和38年(1963年) 6月21日

判示事項
従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則条項の効力。

裁判要旨
従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則条項は、
労働基準法第七条の規定の趣旨に反し無効であると解すべきである。

退職金請求【電電公社小倉電話局事件】

最高裁第三小法廷 昭和43年(1968年) 3月12日

判示事項
一、国家公務員等退職手当法に基づく退職手当の支払と労働基準法第二二四条一項の適用または準用の有無
二、右退職手当の受給権を譲り受けた者が国または公社に対し直接支払を求めることの許否

裁判要旨
一、国家公務員等退職手当法に基づいて支給される一般の退職手当は、
労働基準法第一一条所定の賃金に該当し、その支払については、性質の許すかぎり、
同法第二四条第一項本文の規定が適用または準用される。

二、右退職手当の支給前に、退職者またはその予定者が退職手当の受給権を他に譲渡した場合において、
譲受人が直接国または公社に対してその支払を求めることは許されない。

解雇無効確認等請求【西日本鉄道事件】

最高裁第二小法廷 昭和43年(1968年) 8月2日

判示事項
一、従業員の金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なわれる所持品検査が許されるための要件と
従業員の検査の受忍義務
二、私鉄の電車運転士が脱靴を伴う靴の中の検査を拒否したことを理由とする懲戒解雇が違法でないとされた事例

裁判要旨
一、使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行なう所持品検査は、
これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、
しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、
このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行なわれるときは、
従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がないかぎり、
検査を受忍すべき義務がある。

二、私鉄の使用者が、
「社員が業務の正常な秩序維持のためその所持品の検査を求められたときは、これを拒んではならない。」
との就業規則の条項に基づき、組合と協議のうえ、電車運転士ら乗務員一同に対し、
脱靴が自然に行なわれるよう配慮して、靴の中の検査を実施しようとした等判示事実関係のもとにおいては、
当該乗務員は右検査に応ずる義務があり、この場合、
被検査者の一人が脱靴を拒否したことを理由とする懲戒解雇は違法ではない。

就業規則の改正無効確認請求【秋北バス事件】

最高裁大法廷 昭和43年(1968年) 12月25日

判示事項
一、労働者に不利益な労働条件を一方的に課する就業規則の作成または変更の許否
二、五五歳停年制をあらたに定めた就業規則の改正が有効とされた事例
三、就業規則の法的性質

裁判要旨
一、使用者が、あらたな就業規則の作成または変更によつて、
労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、
原則として、許されないが、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、
個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、
その適用を拒むことは許されないと解すべきである。

二、従来停年制のなかつた主任以上の職にある被用者に対して、
使用者会社がその就業規則であらたに五五歳の停年制を定めた場合において、
同会社の般職種の被用者の停年が五〇歳と定められており、
また、右改正にかかる規則条項において、被解雇者に対する再雇用の特則が設けられ、
同条項を一律に適用することによつて生ずる苛酷な結果を緩和する途が講ぜられている等判示の事情があるときは、右改正条項は、同条項の改正後ただちにその適用によつて解雇されることに上なる被用者に対しても、
その同意の有無にかかわらず、効力を有するものと解すべきである。

三、就業規則は、当該事業場内での社会的規範であるだけでなく、
それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、
法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきである。

給与支払請求【福島県教祖事件】

最高裁第一小法廷 昭和44年(1969年) 12月18日

判示事項
一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、
その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺と労働基準法二四条一項
二、公立中学校の教員につき、給与過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、
その後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が
労働基準法二四条一項の規定に違反しないとされた事例

裁判要旨
一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、
その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺は、
過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、
かつ、あらかじめ労働者に予告されるとかその額が多額にわたらない等
労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものであるときは、
労働基準法二四条一項の規定に違反しない。

二、公立中学校の教員に対して昭和三三年一二月一五日に支給された勤勉手当中に
九四〇円の過払があつた場合において、
昭和三四年一月二〇日頃右教員に対し過払金の返納を求め、
この求めに応じないときは翌月分の給与から過払額を減額する旨通知したうえ、
過払金の返還請求権を自働債権とし、
同年三月二一日に支給される同月分の給料および暫定手当合計二万二九六〇円の支払請求権を
受働債権としてした原判示の相殺(原判決理由参照)は、
労働基準法二四条一項の規定に違反しない。

退職金請求【シンガー・ソーイング・メシーン事件】

最高裁第二小法廷 昭和48年(1973年) 1月19日

判示事項
一、賃金にあたる退職金債権放棄の効力
二、賃金にあたる退職金債権の放棄が労働者の自由な意思に基づくものとして有効とされた事例

裁判要旨
一、賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、
それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる
合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である。

二、甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、
退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、
乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、
また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、
その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、
右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる
合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。

賃金請求【白石営林署事件】

最高裁第二小法廷 昭和48年(1973年) 3月2日

判示事項
一、年次有給休暇制度と休暇の利用目的
二、労働基準法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」か否かの判断基準

裁判要旨
一、年次有給休暇における休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、
休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であると解すべきである。

二、労働基準法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」か否かは、
当該労働者の所属する事業場を基準として判断すべきである。

未払賃金請求【白石営林署事件】

最高裁第二小法廷 昭和48年(1973年) 3月2日

判示事項
一、労働基準法三九条三項にいう「労働者の請求する時季」の意義
二、始期と終期を特定してされた年次有給休暇の時季指定の法的効果

裁判要旨
一、労働基準法三九条三項にいう「労働者の請求する時季」とは、
労働者の指定する時季にほかならず、そこにいう「時季」とは、
季節をも含めた時期を意味するものと解すべきである。

二、労働基準法三九条に基づき、労働者が、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で、
始期と終期を特定して休暇の時季指定をしたときは、
客観的に同条三項但書所定の事由が存在し、
かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしないかぎり、
右の指定によつて年次有給休暇が成立し、
当該労働日における就労義務が消滅するものと解すべきである。

労働契約関係存在確認請求【三菱樹脂事件】

最高裁大法廷 昭和48年(1973年) 12月12日

判示事項
一、憲法一四条、一九条と私人相互間の関係
二、特定の思想、信条を有することを理由とする雇入れの拒否は許されるか
三、雇入れと労働基準法三条
四、企業者が労働者の雇入れにあたりその思想、信条を調査することの可否
五、試用期間中に企業者が管理職要員として不適格であると認めたときは解約できる旨の特約に基づく留保解約権の行使が許される場合

裁判要旨
一、憲法一四条や一九条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。

二、企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、
それを当然に違法とすることはできない。

三、労働基準法三条は、労働者の雇入れそのものを制約する規定ではない。

四、労働者を雇い入れようとする企業者が、その採否決定にあたり、
労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、
違法とはいえない。

五、企業者が、大学卒業者を管理職要員として新規採用するにあたり、
採否決定の当初においてはその者の管理職要員としての適格性の判定資料を
十分に蒐集することができないところから、後日における調査や観察に基づく
最終的決定を留保する趣旨で試用期間を設け、企業者において
右期間中に当該労働者が管理職要員として不適格であると認めたときは
解約できる旨の特約上の解約権を留保したときは、その行使は、
右解約権留保の趣旨、目的に照らして、
客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解すべきである。

労働契約存在確認等請求【東芝柳町工場事件】

最高裁第一小法廷 昭和49年(1974年) 7月22日

判示事項
臨時工に対するいわゆる傭止めの効力の判断にあたり解雇に関する法理を類推すべきであるとされた事例

裁判要旨
電気機器等の製造販売を目的とする会社が、
契約期間を二か月と記載してある臨時従業員としての労働契約書を取りかわして入社した臨時工に対し、
五回ないし二三回にわたつて労働契約の更新を重ねたのちに
いわゆる傭止めの意思表示をした場合において、
右臨時工が景気の変動による需給にあわせて雇用量の調整をはかる必要から雇用された基幹臨時工であつて、
その従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異はなく、
その採用に際しては会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があり、
会社は必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続をとつていたわけでもなく、
また、従来基幹臨時工が二か月の期間満了によつて傭止めされた事例は見当たらず、
自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたつて継続雇用されているなど
判示の事情があるときは、右傭止めの効力の判断にあたつては、
解雇に関する法理を類推すべきである。

賃金請求【丸島水門事件】

最高裁第三小法廷 昭和50年(1975年) 4月25日

判示事項
一、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)の正当性
二、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)とその期間中における使用者の賃金支払義務

裁判要旨
一、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)は、
個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、
経過組合側の争議行為の態様、それによつて使用者側の受ける打撃の程度等に関する具体的諸事情に照らし、
衡平の見地から見て労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当と認められる場合には、
使用者の正当な争議行為として是認される。

二、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)をした使用者は、
それが正当な争議行為として是認される場合には、
その期間中における対象労働者に対する賃金支払義務を免れる。

組合費請求(1)【国労広島地本事件】

最高裁第三小法廷 昭和50年(1975年) 11月28日

判示事項
一、労働組合の組合費が月額で定めらている場合と月の途中で脱退した組合員の納付義務の範囲
二、公共企業体等の労働組合が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為の実施費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務
三、公共企業体等の労働組合が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為により不利益処分を受けた組合員の救援費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務

裁判要旨
一、労働組合の組合費が月を単位として月額で定められている場合には、
月の途中で脱退した組合員は、特別の規定又は慣行等のないかぎり、
その月の組合費の全額を納付する義務を免れない。

二、公共企業体等の労働組合が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為実施の費用として
臨時組合費の徴収を決定しても、原則として組合員を拘束するものではないが、
右徴収決定の時点において単に将来の情況いかんによつては
違法な争議行為の費用にあてられるかも知れないという程度の未必的可能性があるにとどまる場合、
又は違法な争議行為が組合の行う闘争活動の一部にすぎず、
闘争全体としては違法性のない行為を主に計画、遂行されるものであつて、
その闘争費用が一体として徴収される場合には、組合員はこれを納付する義務を負う。

三、公共企業体等の労働組合がその実施した公共企業体等労働関係一七条一項違反の争議行為により民事上
又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については、
組合員はこれを納付する義務を負う。

組合費請求(2)【国労広島地本事件】

最高裁第三小法廷 昭和50年(1975年) 11月28日

判示事項
一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として収する臨時組合費と組合員の納付義務
二、労働組合がいわゆる安保反対闘争の実施費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務
三、労働組合がいわゆる安保反対闘争により不利益処分を受けた組合員の救援費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務
四、労働組合が特定の公職選挙立候補者の選挙運動の支援資金として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務

裁判要旨
一、労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として徴収する臨時組合費については、
右支援が法律上許されない等特別の場合でないかぎり、組合員はこれを納付する義務を負う。

二、労働組合がいわゆる安保反対闘争実施の費用として徴収する臨時組合費については、
組合員はこれを納付する義務を負わない。

三、労働組合がその実施したいわゆる安保反対闘争により民事上
又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については、
組合員はこれを納付する義務を負う。

四、公職選挙に際し、労働組合が特定の立候補者の選挙運動支援のため
その所属政党に寄付する資金として徴収する臨時組合費については、
組合員はこれを納付する義務を負わない。

退職金返還【三晃社事件】

最高裁第二小法廷 昭和52年(1977年) 8月9日

判示事項
同業他社への転職者に対する退職金の支給額を一般の退職の場合の半額と定めた退職金規定の効力

裁判要旨
原審確定の事実関係のもとにおいては、
会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限し、
右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給する退職金の額を
一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることは、
労働基準法三条、一六条、二四条及び民法九〇条に違反しない。

損害賠償【三共自動車事件】

最高裁第三小法廷 昭和52年(1977年) 10月25日

判示事項
労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付の確定と受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から将来の給付額を控除することの要否

裁判要旨
労働者災害補償保険法又は厚生年金保険法に基づき政府が将来にわたり
継続して保険金を給付することが確定していても、いまだ現実の給付がない以上、
将来の給付額を受給権者の使用者に対する損害賠償債権額から控除することを要しない。

懲戒戒告処分無効確認【目黒電報電話局事件】

最高裁第三小法廷 昭和52年(1977年) 12月13日

判示事項
一、日本電信電話公社の就業規則において禁止されている政治活動の意義
二、勤務時間中に「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載したプレートを着用した職員の行為が
日本電信電話公社法三四条二項所定の職務専念義務に違反するとされた事例
三、電報電話局の局所内において「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載したプレートを着用して
勤務した職員の行為が局所内における政治活動を禁止した就業規則の規定に違反するとされた事例
四、電報電話局の局所内における職員のビラ配布行為が局所内におけるビラ配布等につき
事前に局所の管理責任者の許可を受けなければならない旨の就業規則の規定に違反するとされた事例
五、休憩時間中の局所内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等についても
局所の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める
日本電信電話公社の就業規則の規定が休憩時間の自由利用に対する合理約な制約であるとされた事例

裁判要旨
一、日本電信電話公社の就業規則において禁止されている政治活動とは、
人事院規則一四―七所定の政治的目的をもつてされる政治的行為を指すものではなく、
社会通念上政治的と認められる活動をいう。

二、日本電信電話公社の職員が勤務時間中に「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と
記載したプレートを着用してこれを職場の同僚に訴えかけることは、
日本電信電話公社法三四条二項所定の職務専念義務に違反する。

三、電報電話局の局所内において職員が社会通念上政治的な意味をもつ
「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」という文言を記載したプレートを
着用して勤務しこれを職場の同僚に訴えかけることは、局所内の秩序風紀の維持を目的とする
日本電信電話公社の就業規則の政治活動禁止規定に違反する。

四、電報電話局の局所内において局所の管理責任者の許可を得ないでした
職員のビラ配布行為は、その配布の態様につきとりたてて問題にする点はなかつたとしても、
上司の適法な命令に抗議する目的でされ、その内容においても上司の適法な命令に抗議し
局所内での違法なプレート着用等をあおりそそのかすことを含むものであつて、
局所内の秩序を乱すおそれがあつた以上、局所内の秩序風紀の維持を目的とする
局所内のビラの配布等につき事前に局所の管理責任者の許可を受けなければならない旨を定める
日本電信電話公社の就業規則の規定に違反する。

五、休憩時間中であつても、局所内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を行うことは、
局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり、他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ
ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあり、
その内容いかんによつては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるから、
休憩時間中にこれを行うについても局所の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定める
日本電信電話公社の就業規則の規定は、
休憩時間の自由利用に対する合理的な制約というべきである。

雇用関係確認、貸金支払【大日本印刷事件】

最高裁第二小法廷 昭和54年(1979年) 7月20日

判示事項
一 大学卒業予定者の採用内定により、就労の始期を大学卒業直後とする
解約権留保付労働契約が成立したものと認められた事例
二 留保解約権に基づく大学卒業予定者採用内定の取消事由
三 留保解約権に基づく大学卒業予定者採用内定の取消が解約権の濫用にあたるとして無効とされた事例

裁判要旨
一 大学卒業予定者が、企業の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知を受け、
企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨
及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書を提出し、
その後、企業から会社の近況報告その他のパンフレツトの送付を受けたり、
企業からの指示により近況報告書を送付したなどのことがあり、
他方、企業において、採用内定通知のほかには労働契約締結のための
特段の意思表示をすることを予定していなかつたなど、
判示の事実関係のもとにおいては、
企業の求人募集に対する大学卒業予定者の応募は労働契約の申込であり、
これに対する企業の採用内定通知は右申込に対する承諾であつて、
誓約書の提出とあいまつて、これにより、大学卒業予定者と企業との間に、
就労の始期を大学卒業の直後とし、
それまでの間誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約
が成立したものと認めるのが相当である。

二 企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の採用内定の取消事由は、
採用内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であつて、
これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、
目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる。

三 企業が、大学卒業予定者の採用にあたり、
当初からその者がグルーミーな印象であるため従業員として不適格であると思いながら、
これを打ち消す材料が出るかも知れないとしてその採用を内定し、
その後になつて、右不適格性を打ち消す材料が出なかつたとして
留保解約権に基づき採用内定を取り消すことは、
解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができず、
解約権の濫用にあたるものとして無効である。

地位確認【国鉄札幌運転区事件】

最高裁第三小法廷 昭和54年(1979年) 10月30日

判示事項
一 労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の物的施設を利用して行う組合活動の当否
二 D労働組合の組合員が組合活動に際し職員詰所備付けのロツカーに要求事項等を記入したビラを貼付する行為が正当な組合活動にあたらないとされた事例

裁判要旨
一 労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで
使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、
これらの者に対しその利用を許さないことが当該施設につき
使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、
当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、
企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動にあたらない。

二 D労働組合の組合員が、組合活動に際し、
職員詰所に設置された日本国有鉄道の所有し管理する物的施設の一部で
組合員が利用を許されているロツカーに
要求事項等を記入したビラを許可を得ないで貼付する行為は、
組合掲示板以外の施設へのビラ貼付が禁止されており、
ビラの大きさ・色彩・枚数等に照らし貼付されたビラが職員等の目に直ちに触れ、
組合活動に関する訴えかけを行う効果を及ぼすものとみられるなど、
判示の事実関係のもとにおいては、当該施設を管理利用する利用者の権限を侵し、
企業秩序を乱すものであつて、正当な組合活動にあたらない。

賃金【三菱重工長崎造船所事件】

最高裁第二小法廷 昭和56年(1981年) 9月18日

判示事項
ストライキ期間中の家族手当の削減が違法とはいえないとされた事例

裁判要旨
ストライキの場合における家族手当の削減が昭和二三年ころから昭和四四年までは
就業規則の規定に基づいて実施されており、
その後右規定が削除され同様の規定が社員賃金規則細部取扱のうちに定められてからも
従前の取扱が引続き異議なく行われてきたなど、
原判示の事実関係のもとにおいては、
ストライキの場合における家族手当の削減は労使問の労働慣行として成立していたものであり、
このような労働慣行のもとにおいてされた本件ストライキ期間中の家族手当の削減は、
違法とはいえない。

給料【此花電報電話局事件】

最高裁第一小法廷 昭和57年(1982年) 3月18日

判示事項
一 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちにされた使用者の時季変更権行使の効力
二 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過したのちにされた使用者の時季変更権行使の効力が認められた事例

裁判要旨
一 労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し
又は経過したのちに使用者が時季変更権を行使した場合であつても、
労働者の右休暇の請求がその指定した期間の始期にきわめて接近してされたため
使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかつたようなときには、
客観的に右時季変更権を行使しうる事由があり、
かつ、その行使が遅滞なくされたものであれば、
適法な時季変更権の行使があつたものとしてその効力を認めるのが相当である。

二 使用者の年次有給休暇時季変更権の行使が、
労働者の指定した休暇の期間が開始し又は経過したのちにされたものであつても、
労働者の右休暇の請求が一日又は午前中二時間の期間につき当日の朝宿直員を通じてされたため
事前に時季変更権を行使する時間的余裕がなかつたものであり、
また、右休暇の請求は事業の正常な運営を妨げるおそれがあつたが、
使用者において、労働者が休暇を必要とする事情のいかんによつては
これを認めるのを妥当とする場合があると考えて休暇の理由を聴取するため時季変更権の行使を差し控え、
その後労働者がこれを明らかにすることを拒んだため
右のような考慮をする余地がないことが確定的になつた時点に至つてはじめて、
かつ、遅滞なく時季変更権の行使をしたなど、
判示の事情のもとにおいては、
右時季変更権の行使は適法にされたものとしてその効力を認めるのが相当である。

未払賃金【大和銀行事件】

最高裁第一小法廷 昭和57年(1982年) 10月7日

判示事項
賞与の支給日前に退職した者が当該賞与の受給権を有しないとされた事例

裁判要旨
就業規則の「賞与は決算期毎の業績により各決算期につき一回支給する。」
との定めが「賞与は決算期毎の業績により支給日に在籍している者に対し各決算期につき一回支給する。」
と改訂された場合において、右改訂前から、
年二回の決算期の中間時点を支給日と定めて当該支給日に在籍している者に対してのみ
右決算期を対象とする賞与が支給されるという慣行が存在し、
右就業規則の改訂は単に従業員組合の要請によつて
右慣行を明文化したにとどまるものであつて、
その内容においても合理性を有するときは、
賞与の支給日前に退職した者は当該賞与の受給権を有しない。

譴責処分無効確認【関西電力事件】

最高裁第一小法廷 昭和58年(1983年) 9月8日

判示事項
労働者が就業時間外に職場外において職務遂行に関係なくビラを配布したことを理由として右労働者を懲戒することが許されるとされた事例

裁判要旨
労働者の配布したビラの内容が、大部分事実に基づかず、
又は事実を誇張歪曲して使用者を非難攻撃し、
全体として使用者を中傷誹議するもので、
右ビラの配布により労働者の使用者に対する不信感を醸成して企業秩序を乱し、
又はそのおそれがあつたときは、右ビラの配布は、
就業時間外に職場外において職務遂行に関係なく行われたものであつても、
就業規則に定める懲戒事由の一つである「その他特に不都合な行為があつたとき」にあたり、
使用者が、これを理由に懲戒として労働者を譴責したことにつき、
裁量権の範囲を逸脱したものとは認められない。

損害賠償【川義事件】

最高裁第三小法廷 昭和59年(1984年) 4月10日

判示事項
宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事故につき
会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとされた事例

裁判要旨
会社が、夜間においても、その社屋に高価な反物、毛皮等を多数開放的に陳列保管していながら、
右社屋の夜間の出入口にのぞき窓やインターホンを設けていないため、
宿直員においてくぐり戸を開けてみなければ来訪者が誰であるかを確かめることが困難であり、
そのため来訪者が無理に押し入ることができる状態となり、
これを利用して盗賊が侵入し宿直員に危害を加えることのあるのを予見しえたにもかかわらず、
のぞき窓、インターホン、防犯チェーン等の盗賊防止のための物的設備を施さず、
また、宿直員を新入社員一人としないで適宜増員するなどの措置を講じなかつたなど
判示のような事実関係がある場合において、
一人で宿直を命ぜられた新入社員がその勤務中にくぐり戸から押し入つた盗賊に殺害されたときは、
会社は、右事故につき、
安全配慮義務に違背したものとして損害賠償責任を負うものというべきである。

救済命令取消【日本メール・オーダー事件】

最高裁第三小法廷 昭和59年(1984年) 5月29日

判示事項
同一企業内に併存する労働組合の一つが労働協約の締結を拒否したため
その組合員のみが年末一時金の支給を受けられなかつた場合に不当労働行為が成立するとされた事例

裁判要旨
同一企業内に併存する甲乙二つの労働組合のうち少数派の乙組合において
使用者が年末一時金の回答に付した「生産性向上に協力すること」
という前提条件の受諾を拒否したため労働協約を締結することができなかつた結果、
乙組合員のみが一時金の支給を受けられなかつた場合であつても、
右前提条件の内容が抽象的であり、
具体的内容を使用者が十分説明しなかつたばかりでなく、
当時はいわゆる生産性向上運動が深刻な労使紛争にまで発展した事例が
広く知られて間もない時期であつたなど、
乙組合の対応に無理からぬものというべき事情があつたにもかかわらず、
使用者において右前提条件に固執したため、
乙組合がやむなく受諾拒否という選択に及んだものである等
判示のような事実関係があるときは、
以上の経過に現れた使用者の行為は、
全体として、乙組合員をそのことの故に差別し、
これによつて同組合の内部に動揺を生じさせ、
ひいてその組織を弱体化させようとの意図のもとに行われたものとして、
労働組合法七条一号及び三号の不当労働行為を構成する。

賃金支払【水道機工事件】

最高裁第一小法廷 昭和60年(1985年) 3月7日

判示事項
出張・外勤命令に従わず内勤業務に従事した従業員らに対し使用者が賃金の支払義務を負わないとされた事例

裁判要旨
使用者が、従業員らに対し、文書により個別に、
就業すべき日、時間、場所及び業務内容を指定して出張・外勤を命ずる業務命令を発したが、
従業員らが、いずれも所属労働組合の外勤・出張拒否闘争に従い、
右指定された時間に会社に出勤し、
内勤の場合における各人の分担に応じ内勤業務に従事し、
右業務命令に対応する労務を提供しなかつた等、
判示の事実関係の下においては、
右従業員らは債務の本旨に従つた労務の提供をしたものとはいえず、
使用者は、その時間に対応する賃金の支払義務を負わない。

雇用関係確認等本訴、建物明渡請求反訴【古河電気工業・原子燃料工業事件】New!!

最高裁第二小法廷 昭和60年(1985年) 4月5日

判示事項
いわゆる在籍出向中の労働者に対する復帰命令と当該労働者の同意の要否

裁判要旨
使用者が労働者に対し、
雇用契約上の身分を保有させながら第三者の指揮監督の下に労務を提供させる形態の
いわゆる在籍出向を命じている場合に、
右出向関係を解消して復帰を命ずるためには、
特段の事由のない限り、当該労働者の同意を得ることを必要としない。

不当労働行為救済命令取消【日産自動車事件】New!!

最高裁第三小法廷 昭和60年(1985年) 4月23日

判示事項
併存する企業内労働組合の一つが使用者の提案する残業の条件を拒否していることを理由に
その組合員に対して残業を命じていない使用者の行為が
労働組合法七条三号の不当労働行為に当たるとされた事例

裁判要旨
使用者がその企業内に併存する甲乙二つの労働組合のうち
少数派の乙組合員に対して一切の残業を命じていない場合において、
それが乙組合との団体交渉において製造部門につき
既に甲組合との合意の下に実施している昼夜二交替制勤務及び
計画残業からなる勤務体制に乙組合も服することが残業の条件であるとの使用者の主張を
乙組合が拒否したため残業に関する合意が成立していないことを理由とするものであつても、
使用者において右勤務体制を実施するに際し、
乙組合に対してなんらの提案も行うことなく
一方的に乙組合員を昼間勤務にのみ配置して残業に組み入れないこととし、
また、右勤務体制を実施しない事務・技術部門においても
乙組合員に対しては一切の残業を命じないこととする措置をとり、
その後乙組合からの要求により右残業に関する使用者の措置が
団体交渉事項となつたのちも誠実な団体交渉を行わず、
右の措置を維持継続してこれを既成事実としたものであるなど
判示のような事実関係があるときは、乙組合員に対し残業を命じていない使用者の行為は、
同組合員を長期間経済的に不利益を伴う状態に置くことにより
組織の動揺や弱体化を生ぜしめんとの意図に基づくものとして、
労働組合法七条三号の不当労働行為に当たる。

未払賃金【エヌ・ビー・シー工業事件】

最高裁第三小法廷 昭和60年(1985年) 7月16日

判示事項
一 労働者が生理休暇を取得することにより精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置と労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条
二 精皆勤手当の算定に当たり生理休暇取得日数を出勤不足日数に算入する措置が労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条に違反しないとされた事例

裁判要旨
一 労働者が生理休暇を取得することにより
精皆勤手当等の経済的利益を得られない結果となる措置は、
その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、
生理休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、
生理休暇の取得を著しく困難にし、
労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条の規定が
特に設けられた趣旨を失わせると認められるものでない限り、
同条に違反しない。

二 出勤不足日数によつて支給の有無又は額が決定される精皆勤手当の算定に当たり
生理休暇取得日数を右出勤不足日数に算入する措置は、
右手当が、法定の要件を欠く生理休暇及び自己都合欠勤を減少させて
出勤率の向上を図ることを目的として設けられたものであり、
出勤不足日数のない場合には一か月当たり五〇〇〇円支給され、
同日数が一日の場合三〇〇〇円、二日の場合一〇〇〇円に順次減額され、
三日以上の場合には支給されないこととなるが、
生理休暇取得者には最も少額の者でも一日一四六〇円の
基本給相当額の不就業手当が別に支給されるなど
判示の事実関係のもとにおいては、生理休暇の取得を著しく困難にし、
労働基準法(昭和六〇年法律第四五号による改正前のもの)六七条の規定が
特に設けられた趣旨を失わせるとは認められないものとして、
同条に違反しない。

懲戒処分無効確認【電電公社帯広電報電話局事件】

最高裁第一小法廷 昭和61年(1986年) 3月13日

判示事項
日本電信電話公社(昭和五九年法律第八五号日本電信電話株式会社法附則一一条による廃止前の日本電信電話公社法に基づき設立されたもの)が
その職員に対し頸肩腕症候群総合精密検診の受診を命じた業務命令が有効であるとして
これに違反したことを理由とする戒告処分が適法であるとされた事例

裁判要旨
日本電信電話公社(昭和五九年法律第八五号日本電信電話株式会社法附則一一条による廃止前の日本電信電話公社法に基づき設立されたもの)が
健康管理上の措置が必要であると認められる職員に対し
二週間の入院を要する頸肩腕症候群総合精密検診の受診を命ずる業務命令を発した場合において、
右職員に労働契約上その健康回復を目的とする健康管理従事者の指示に従う義務があり、
右検診が疾病の治癒回復という目的との関係で合理性ないし相当性を有するなど
判示の事情があるときは、右業務命令は有効であり、
これに違反したことを理由とする戒告処分は適法である。

従業員地位確認等【東亜ペイント事件】

最高裁第二小法廷 昭和61年(1986年) 7月14日

判示事項
転勤命令が権利の濫用に当たらないとされた事例

裁判要旨
全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員が
母親、妻及び長女と共に堺市内の母親名義の家屋に居住しているなど、
判示の事実関係のみから、同従業員に対する名古屋営業所への転勤命令が
権利の濫用に当たるということはできない。

労働契約存在確認等【日立メディコ事件】

最高裁第一小法廷 昭和61年(1986年) 12月4日

判示事項
臨時員に対する雇止めにつき解雇に関する法理を類推すべき場合において
その雇止めが有効とされた事例

裁判要旨
当初二〇日間の期間を定めて雇用し
その後期間二箇月の労働契約を五回にわたり更新してきた臨時員に対し、
使用者が契約期間満了による雇止めをした場合において、
右臨時員が季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のために雇用されるものでなく
景気変動に伴う受注の変動に応じて雇用量の調整を図る目的で雇用されるもので、
その雇用関係はある程度の継続が期待されていたものであり、
右雇止めの効力の判断に当たつては解雇に関する法理を類推すべきであつても、
独立採算制がとられている工場において、
事業上やむを得ない理由によりその人員を削減する必要があり、
余剰人員を他の事業部門へ配置転換する余地もなく、
工場の臨時員全員の雇止めが必要であるとした使用者の判断が
合理性に欠ける点がないと認められるなど判示の事情があるときは、
期間の定めなく雇用されている従業員につき
希望退職者募集の方法による人員削減を図らないまま
右臨時員の雇止めが行われたことをもつて
当該雇止めを無効とすることはできない。

雇用関係存在確認等【あけぼのタクシー事件】

最高裁第一小法廷 昭和62年(1987年) 4月2日

判示事項
使用者がその責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合の
労働基準法一二条四項所定の賃金と労働者が解雇期間中他の職に就いて得た利益額の控除

裁判要旨
使用者が、その責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合、
労働基準法一二条四項所定の賃金については、
その全額を対象として、右賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に
労働者が他の職に就いて得た利益の額を控除することができる。

懲戒処分無効確認等【弘前電報電話局事件】

最高裁第二小法廷 昭和62年(1987年) 7月10日

判示事項
勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合に
休暇の利用目的を考慮して勤務割変更の配慮をせずに時季変更権を行使することの許否

裁判要旨
勤務割における勤務予定日につき年次休暇の時季指定がされた場合であつても、
使用者が、通常の配慮をすれば勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能であるときに、
休暇の利用目的を考慮して勤務割変更のための配慮をせずに
時季変更権を行使することは、許されない。

賃金【ノース・ウエスト航空事件】

最高裁第二小法廷 昭和62年(1987年) 7月17日

判示事項
一 労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」と民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」
二 部分ストライキのため会社が命じた休業が労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものとはいえないとされた事例

裁判要旨
一 労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」は、
民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、
使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む。

二 定期航空運輸事業を営む会社に職業安定法四四条違反の疑いがあつたことから、
労働組合がその改善を要求して部分ストライキを行つた場合であつても、
同社がストライキに先立ち、労働組合の要求を一部受け入れ、
一応首肯しうる改善案を発表したのに対し、
労働組合がもつぱら自らの判断によつて
当初からの要求の貫徹を目指してストライキを決行したなど判示の事情があるときは、
右ストライキにより労働組合所属のストライキ不参加労働者の労働が社会観念上無価値となつたため
同社が右不参加労働者に対して命じた休業は、
労働基準法二六条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものということができない。

退職金請求事件【大曲市農協事件】

最高裁第三小法廷 昭和63年(1988年) 2月16日

判示事項
農業協同組合の合併に伴う退職給与規程の不利益変更が有効とされた事例

裁判要旨
農業協同組合の合併に伴つて新たに作成された
退職給与規程の退職金支給倍率の定めが
一つの旧組合の支給倍率を低減するものであつても、
それによる不利益は退職金額算定の基礎となる
基本月俸が合併後増額された結果軽減される一方、
右支給倍率の低減が、合併前に右組合のみが県農業協同組合中央会の
退職金支給倍率適正化の指導・勧告に従わなかつたため
他の合併当事組合との間に生じた退職金水準の格差を是正する必要上とられた措置であるなど
判示の事情があるときは、
右退職給与規程の退職金支給倍率の定めは、
合理性があるものとして有効である。

不当労働行為救済命令取消請求事件【池上通信機事件】

最高裁第三小法廷 昭和63年(1988年) 7月19日

判示事項
使用者が労働組合からの従業員食堂の使用申入れを許諾しなかつたこと等が
不当労働行為に該当しないとされた事例

裁判要旨
労働組合が、組合活動のため使用者の施設を自由に使用することができるとの見解のもとに、
従業員食堂の使用につき使用者と真摯な協議を尽くさず、
使用者の許諾を得ないまま実力を行使してこれを使用し続けてきた場合において、
使用者が、労働組合からの従業員食堂の使用申入れを許諾しなかつたこと、
また、許諾のないまま従業員食堂において開かれた組合員集会等の中止を命令し、
組合幹部に対し警告書を交付したことは不当労働行為に該当しない。

(補足意見がある。)

まとめ

随時、更新していきます。
社労士受験生の学習の一助になれば幸いです。

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